ランチェスター戦略の差別化とは「万人受けを狙わない」

大手と同じ”似たような商品”を売っている時は?

もしあなたが缶コーヒーの弱小メーカーだったとして、一体どうすれば大手よりも高いシェアを勝ち取ることができるでしょうか?

テレビCMや新聞広告などの認知度のアップも大事ですが、一番大事なのは自動販売機の設置台数をどんどん伸ばして行くことです。

結局、缶コーヒーの場合、どれだけ自社メーカーの缶コーヒーを扱った自動販売機が設置されているかで、大体のシェア率が決まってしますのです。

では、味も見た目も似たような(失礼!)な缶コーヒーだったら、最終的には売っている場所が多い方が勝つのは当然の理論ですよね。

これは缶コーヒーに限らず、多くのビジネスでも同じ事が言えます。

もしあなたが大手と同じような商品やサービスを扱っていたとして、あなたならその局面をどうやって乗り切ろうと思いますか?

 

差別化の前に、弱者の戦略と強者の戦略の違いを知っておく

ランチェスター戦略は、弱者逆転の為の理論として扱われがちですが、弱者の戦略・強者の戦略の両方をしっかりとフォローしています。

このサイトでもランチェスター戦略の第一法則と第二法則については何度か触れていますが、いわば第一法則は弱者の戦略であり、第二法則は強者の戦略と言えます。

弱者と強者の戦略とは?
第一法則(弱者の戦略) 第二法則(強者の戦略)
局地戦 広域戦
一騎打ち戦 確立戦
接近戦 遠隔戦
一点集中主義 総合主義
陽動戦 誘導戦

つまり弱者が勝つためには①局地戦・一騎打ち戦・接近戦で戦い、②兵力を集中させ、③武器能力を高めることで、強者に対しても負けない戦い方ができるようになります。

一方、兵力数の多い強者は、弱者が取れない戦略である量を活かした高い方が求められます。

具体的には、強者は①広域戦、確率戦、遠隔線で戦い、②豊富な物量を活かした総合力で戦い、③弱者と同等以上の武器を用いることで、弱者を圧倒した強者の戦い方ができるようになります。

ここで重要なのは、弱者・強者の区別は規模ではなく、市場のシェア率で考えて行くことです。

つまり、切り取る市場の範囲によっては、大企業の弱者や小企業の強者も存在するということ。

あくまで、あなたが切り取った市場のシェア率において、強者は誰で弱者が誰なのかを正しく理解した上で、その都度適切な戦略を取ることが大切なのです。

 

つまり差別化とは「万人受けを狙わない」ことから始まる

缶コーヒーのたとえ話に戻りますが、市場自体が成長している時は、強者の真似をしていても市場が広がっていくので何とかやって行くことができます。

ですが、成熟した市場の中では、常にシェアの奪い合いが発生するので、弱者が強者の真似をしても勝つ事は永遠にできません。

そこで、弱者が取るべき逆転の一手として「差別化」という考え方があるのです。

WANDAの朝専用のモーニングショットなどは、まさに缶コーヒーの差別化の良い事例で、「朝専用」とすることで大手の缶コーヒーにはなかった独自の土俵を築くことに成功しました。

また「ゴリラの鼻くそ」というお菓子もネーミングが勝利し、一般店舗に並ばなくても、動物園では売れる人気のお菓子に成長した事例もあります。

つまり、差別化と言うのは、市場を狭くすることだけではなく、万人受けを狙わず「キャラ立ち」を目指していくことから始まるのです。

 

今すぐできる差別化のヒントは「組み合わせ」

差別化をするためには、何も奇を狙い続ける必要はありません。

たとえ商品やサービスの内容がほとんど同じだったとしても、ちょっと視点を変えたり、新しい要素を組み合わせることで簡単に差別化は成立します。

組み合わせで作る差別化

喫茶店×ヲタク×コスプレ=メイド喫茶
喫茶店×ヲタク×漫画=漫画喫茶
喫茶店×ヲタク×ゲーム=ゲームBar

メイド喫茶や漫画喫茶などは、もうお店が乱立し過ぎてしまい差別化でも何でもなくなりましたが、立ち上がった直後はとても注目されました。

もし仮に、今からメイド喫茶を始めようとするのなら、ここから更に新しい概念を組み合わせる必要があります。

新しいメイド喫茶を考える

喫茶店×アニメ×コスプレ=人気アニメのタイアップ喫茶
喫茶店×スマホゲーム×レアアイテム=レアアイテムが貰える人気ゲームのコラボカフェ

これらの喫茶店やコラボカフェと言うのは、実はすでに何件も事例があり、そしてコアなファンからはとても支持されて一定の収益化に成功を収めています。

つまり、ドトールやスターバックスのような広域戦を仕掛けなくても、特定のアニメやゲームという局地戦に持ち込んだコラボカフェと言うのは、まさに弱者が勝つための戦略と言えるのです。

 

また、差別化を考える上でヒントになる視点として、次のような考え方もあります。

・マーケットの差別化
・製品、サービスの差別化
・価格の差別化
・流通の差別化
・地域の差別化
・販促の差別化
・営業の差別化
・理念の差別化

これらはすぐには実行できなかったとしても、自分と他社との違いはどこにあるのかを考える上でのヒントになるかと思います。

また、先に話した「組み合わせ」という考え方と合わせて行けば、差別化と言うのは意外とあっさりとできるので、ぜひ試してみて下さい。

 

差別化でもっとも重要なのは「経営理念」の差別化

「経営理念の差別化が最も重要」と聞いて、あなたは胡散臭いと思うかもしれませんが、私は差別化を考える上で最も大切なのは「経営理念」だと強く考えています。

と言うのも、経営理念が他社とは明らかに違うものであれば、そこから生み出される商品やサービス、人材育成と言うのは、他社とは明らかに違う何かとなって現れてくるからです。

 

自由でみずみずしい発想を原動力に 

すばらしい夢と感動

ひととしての喜び

そしてやすらぎを提供します。

 

私たちは、世界のエンターテイメント・リーディングカンパニーを目指します。そのために、ゲストの期待を常に上回る「ワールドクラスの体験」を提供し続けます。

 

前者はディズニーランドを経営するオリエンタルランドの経営理念で、後者はUSJの経営理念です。

どちらも同じ遊園地ですが、両者ともに普通の遊園地ではない何かに成長していることは明らかです。

これこそが経営理念の差別化に成功している典型的な事例だと言えないでしょうか?

もちろん、経営理念が単なる”掛け軸”にならないよう、日々経営理念に沿った行動を続けることが大切ですが、それだけ経営理念の差別化と言うのは大切だというお話です。

 

差別化をするときに注意するべき5原則

ちなみに、差別化を目指す時に注意したいことは「奇を狙う必要はない」と言う事です。

極端な話、街中の8割以上の人が反対しそうなことを街中で堂々と宣言をすれば、それだけで差別化は一定の成功にはなります。

ですが、それで本当に人が集まってくるのか?集まってきた人はあなたが本当に望んでいる人たちなのか?ということを考えなければなりません。

そこで、差別化を行う時に注意して欲しい5原則があるので、最後にそれをまとめたいと思います。

 

簡単にマネされる差別化は差別化ではない

価格を少しだけ安くするような差別化は、強者にすぐに真似されてしまい、消耗戦で負けてしまいやすい戦略となります。

差別化はミート(合わせる)されたら差別化ではなくなります。

最終的にはあらゆる内容はミートされてしまう可能性がありますが、それでもミートするのに時間がかかる参入障壁の高い差別化を模索する事が大切です。

 

顧客に評価されない差別化は差別化ではない

これもよく起こる差別化の失敗事例ですが、いくら差別化した商品やサービスの内容が優れていたとしても、すごいと感じているのは社内の身内だけで、顧客にとっては大した価値として感じないパターンです。

差別化できているか、できていないかを決めるのは、提供者ではなく顧客が決める話です。

アップルのiphoneがそうであるように、開発した商品が本当に素晴らしいものであれば、顧客の方から勝手に差別化を行ってくれるようになります。

 

差別化はわかりやすく奥深く

差別化は弱者の戦略で、リソースに限りがあるからこそ、一点集中で差別化を目指さなければなりません。

特に差別化ポイントがあまりにも多すぎると、ポイントがぼやけてしまうので注意が必要です。

相手に分かりやすく伝えるためにも、差別化のポイントは3つ程度にまとめておくのがおすすめです。

 

自業界の非常識は他業界の常識

他業界では常識的なことであっても、自業界では行われていないことは何か?

ここに最も手っ取り早い差別化のヒントがあります。同じ業界にどっぷりつかっていると、なかなか差別化のアイデアは浮かばないものです。

業界の素人が革新的なことを行い業界の勢力図を一気に変えることがあることからも、他業界に差別化のヒントを求めるのは有効です。

 

小技も大切だが、新円の裏付けのない小手先は通用しない

「神は細部に宿る」とは良く言いますが、どんな些細な物にも神は宿り差別化を生み出すことはできます。

名刺ひとつ、年賀はがき、お礼状、ちょっとした小技を繰り出すのも大いに結構です。

ですが、これらの小技の裏には常に信念の裏付けが問われます。

小手先の手練手管で顧客を驚かせたり脅かしたりするものは通用しません。あくまで理念の一貫性が求められるのです。

コメント