ランチェスター戦略の一点集中主義は「選択と集中」

ランチェスター戦略の戦力は「質×量」で計算する

ランチェスター戦略の一点集中主義を解説する前に、知っておいて欲しいことがあります。

それがランチェスター戦略を取り扱う時の、自軍・敵軍の戦力の図り方です。

孫子の「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と言った言葉にもある通り、敵と自分の戦力差を正確に測っておく事は、ビジネスの世界でもとても大切です。

ランチェスター戦略では、第一法則と第二法則でそれぞれ以下の計算式を導き出しています。

第一法則…戦闘力=武器効率×兵力数
第二法則…戦闘力=武器効率×兵力数の2乗

つまり、局地戦・接近戦・一騎打ちなどの第一法則下では、「武器効率×兵力数」によって戦力差を計算し、広域戦・遠隔戦・確立戦のなどの第二法則下では、「武器効率×兵力数の2乗」で戦力差を計算するよう定義されています。

 

ビジネス版ランチェスター戦略での「武器効率」とは?

では、ランチェスター戦略をビジネスに応用して考える場合、武器効率とは一体何に当てはめて考えることができるのか?

一つの考え方として、武器効率と言うのは「質」という言葉に置き換えて考えることも可能だと言えます。

ビジネスにおける「質」

・商品の品質、サービス内容
・商品の販売方法
・商品の価格や保証内容
・営業マンの営業能力
・営業マンへの営業ツール
・店舗に配置する販促ツール など

商品を売るために必要な手段や方法などが質の部分であると考えると分かりやすいかと思います。

また「コスパがいいよね」などと言われる、値段と内容のバランスが優れているのも質の要素だと考えることもできます。

言い換えれば、顧客が商品を選ぶときの選択基準全てが質に当てはまると言うことです。

 

ビジネス版ランチェスター戦略での「兵力数」とは?

「兵力数」をビジネス版ランチェスターに置き換えて考えれば「量」という言葉が適切であると言われています。

この量というのは、営業担当者や営業拠点の数と言った単純な数から、商談の回数や頻度、営業時の同行人数と言った数まで含めて考えます。

ビジネスにおける「量」

・営業担当者の数
・営業拠点の数
・商談の回数や頻度
・営業時の同行人数
・品揃え数
・売り場面積
・客席数 など

品数が100点しかない店舗に比べ、品数が1000点ある店舗の方が量においては圧倒的に勝っていますよね。

このように、量で圧倒していくこともランチェスター戦略ではとても重要と考えられています。

特に競合が多い広域戦での戦いになると「質×量の2乗」によって戦力差が決まるので、必要最低限の質を担保した後は、量で攻めていく事はとても有効な戦略の一つと言えます。

 

「一点集中」の基本は「量」を一点に集めてくること

では「量」を揃えることのできない弱者はどうすれば強者と戦っていけるようになるのか?

もちろん、局地戦に持ち込み、市場の細分化・差別化を図って戦局を狭めていく方法も有効です。(詳しくは「局地戦」を参照)

ですが、ここでは「一点集中主義」という、少ない量をここで勝つんだと定めた一点に集中する方法を紹介したいと思います。

一点集中主義においては、絞った1点においてはライバルの誰よりも「量」的に勝るように集中して行きます。

そして、全体では量が少なくても、その1点においては敵よりも量的に優れるようにする戦い方です。

 

ミズノを抜き、スポーツ用品メーカー国内最大手となったアシックス社も、創業の頃はバスケットボールシューズの製造販売に一点集中しました。

創業者の鬼塚喜八郎さんは「厚い板もキリで揉み込めば穴が空く。これ一点集中なり」と言葉を残されています。

それだけ、一点集中の威力と言うのは、使うタイミングや局面を誤らなければ、とても強力なものとなるのです。

 

一点集中はNo.1になるまで徹底的に行う!

では、どこまで一点集中で量を注げばよいのかと言うと、最低ラインとして、ライバルの誰よりも量的に多くすることです。

目標値として、競合ライバルの多い広域戦であれば2番手と比べ√3倍、ライバルの少ない局地戦であれば2番手と比べ3倍以上の差をつければ、まず間違いなく圧勝できると言えます。

ただし、気を付けたいのは「質×量(の2乗)」なので、必ず必要最低限の質は担保できることが条件です。

少なくとも2番手の質と同程度、若干見劣りするレベルで勝負を仕掛けないと、勝てる勝負も難しくなるので注意して下さい。

 

この一点集中による戦略は、必ずNo.1になるまで行い続けることが大切です。

局地戦の項目でもお伝えしたとおり、1番目と2番目の差が3倍(√3倍)に開きNo.1になるまで圧倒的にならないと、いずれ2番手が消耗戦へもちこみ1番の座を奪ってきます。

2番手を圧倒し棲み分けを考えさせるくらいにまで差が開くNo.1になったとき、初めて一点集中の戦略が成功したと考え、次なるNo.1づくりの集中へ準備を進めて行きましょう。

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